Qilinは何者?アサヒ攻撃で声明のハッカー集団!国籍や目的は?

Qilinは何者?アサヒ攻撃で声明のハッカー集団!国籍や目的は?

アサヒグループホールディングスへのサイバー攻撃で、犯行声明を出したハッカー集団「Qilin(キリン / キーリン)」。

身近な飲料メーカーへの攻撃で名前を知り、「Qilinって何者?」「どこの国の集団?」「何のために攻撃しているの?」と気になった方もいるのではないでしょうか。

調べてみると、Qilinには攻撃の道具を作る側と実行する側が分かれ、身代金を分け合う仕組みがありました。

今回は、Qilinの正体や国籍、企業を攻撃する目的を、アサヒへの犯行声明やメンバーの逮捕報道とあわせて見ていきましょう。

目次

Qilin(キリン / キーリン)がアサヒ攻撃で声明!何があった?

アサヒグループでは、2025年9月29日にサイバー攻撃によるシステム障害が発生しました。

複数のサーバーや一部のパソコンでデータが暗号化され、受注や出荷、生産などに影響が出る事態となりました。

その後、同年10月7日にQilinが、この攻撃を行ったとする声明を出したと報じられています。

Qilinは社内文書だとする画像を掲載し、大量のファイルを盗んだとも主張しました。

ただし、ロイターは当時、掲載された文書の真正性を確認できていないと伝えています。

企業の業務を止めるだけでなく、盗んだという情報を示して圧力をかける。そんな攻撃で名前が出てきたのがQilinだったんですね。

Qilin(キリン / キーリン)は何者?2022年から活動するハッカー集団

Qilinは、企業や組織へサイバー攻撃を仕掛け、身代金を要求する犯罪集団です。

攻撃には「ランサムウェア」と呼ばれる不正プログラムを使います。

これは、パソコンやサーバーのデータを暗号化し、元に戻すことと引き換えに金銭を要求するものです。

Qilinの基本情報をまとめると、次のとおりです。

項目内容
名称Qilin
読み方キリン、キーリンなど
以前の名称Agenda
活動の始まり2022年
分類ランサムウェアを使うサイバー犯罪集団
主な目的身代金による金銭の獲得
組織の仕組み運営側と攻撃の実行役が協力するRaaS型

「ハッカー」と聞くと、1人がパソコンに向かって侵入している姿を想像するかもしれません。

ところがQilinは、攻撃用ソフトの開発やシステム管理を担う運営側と、企業への侵入などを行う実行役が協力する形で活動しています。

読み方は「キリン」「キーリン」!以前はAgendaという名称

Qilinの読み方は「キリン」「キーリン」など。国内の報道でも、複数の表記が使われています。

米国保健福祉省(HHS)の2024年の資料では、2022年7月に「Agenda」という名称で活動を始め、同年9月までにQilinへ名称を変更したと紹介されています。

アサヒへの攻撃で初めて登場した集団ではなく、それ以前から活動していたということですね。

Qilinの国籍は?ロシア系といわれる理由

Qilinは、ロシア系とみられる集団です。HHSの分析でも、ロシアに起源を持つ、またはロシア語を話すメンバーがいる可能性が示されています。

また、セキュリティ企業Group-IBは、Qilinが協力者を募集する投稿をロシア語で行っていたことを確認しています。

この投稿には、旧ソ連諸国の一部が加盟する「CIS諸国」を攻撃対象にしないという趣旨の記載もあったそうです。

2026年10月には、中心メンバーとみられるロシア国籍の男がドイツで逮捕されたことも発表されました。

ロシア語の募集投稿やメンバーの国籍などから、ロシアとのつながりがうかがえます。

ただ、組織全体の人数や、メンバー全員の国籍までは明らかになっていません。

名前の「Qilin」は中国の伝説上の生き物「麒麟」を意味する

少しややこしいのが、Qilinという名前です。

HHSの資料では、「qilin」は中国の伝説上の生き物「麒麟」を指す言葉だと説明されています。

名前だけを見ると中国の集団にも思えますが、公開されている分析ではロシア系とみられています。

名前に中国語の言葉が使われていても、それがメンバーの国籍を表しているわけではないんですね。

Qilinの目的は?企業から身代金を得るため

Qilinの主な目的は、攻撃した企業や組織から身代金を得ることです。

単にシステムを壊して終わりではなく、業務を再開したい企業や、情報の公開を避けたい企業に金銭を要求します。

データの暗号化と情報公開で脅す「二重脅迫」

Qilinの代表的な手口は、データの暗号化と情報公開の脅しを組み合わせる「二重脅迫」です。

具体的には、次の2つを材料にして支払いを迫ります。

  • 業務に必要なデータを暗号化し、復旧と引き換えに身代金を要求する
  • 盗んだ情報を公開すると脅し、公開を止める条件として支払いを求める

会社にバックアップがあれば、暗号化されたデータを復元できる場合もあります。

それでも、顧客情報や社内資料を盗まれていれば、情報を公開される心配は残ります。

仕事を再開できたとしても、安心できないところが厄介ですね。

なお、HHSは、身代金を支払ってもデータを復旧するための道具を受け取れる保証はないと指摘しています。

運営側と実行役が身代金を分け合う「RaaS

Qilinは、RaaS(ランサムウェア・アズ・ア・サービス)という仕組みで活動しています。

攻撃用ソフトやシステムを運営側が提供し、協力者がそれを使って企業を攻撃する形です。

役割主な内容
運営側ランサムウェアの開発や、攻撃・脅迫に使うシステムの提供
実行役企業への侵入、情報の持ち出しや暗号化、金銭の要求など
得られた身代金運営側と実行役で分配

Group-IBが2023年に公表した調査では、実行役が身代金の80〜85%を受け取る報酬体系が紹介されていました。これは当時確認された条件です。

さらに、標的の企業や身代金の支払い状況を管理する画面も用意されていたそうです。

攻撃の実行まで分業し、報酬を分け合っているとは…。1人の犯人を捕まえるだけでは、組織全体の活動を止めにくい理由も見えてきます。

Qilinの被害はアサヒ以外にも?海外では医療サービスに影響

Qilinによる被害は、日本の飲料メーカーに限られていません。

海外では、医療に関わる企業も被害を受けています。

2024年6月には、英国の検査サービス会社SynnovisがQilinによるランサムウェア攻撃を受け、ロンドンの複数の病院の医療サービスに影響が出ました。

検査を担う会社のシステムが止まれば、その検査を利用する病院の診療にも支障が出ます。

企業への攻撃が、患者さんの医療にも影響してしまうんですね。

アサヒへの攻撃でも、会社のパソコンが使えなくなるだけでなく、商品の受注や出荷などに影響が及びました。

個人情報については、アサヒ側が一部のパソコン端末からの流出を確認しています。

一方、2026年7月17日の発表では、データセンターのサーバーに保存されていた個人情報の流出は確認されていないと説明しています。

攻撃者が「盗んだ」と主張する情報量を、そのまま会社が確認した被害として受け取らないことも大切です。

Qilinの中心メンバーが逮捕!日本で拘束されていた

Qilinをめぐっては、中心メンバーとみられる28歳のロシア国籍の男が日本で拘束され、その後ドイツで逮捕されています。

時事通信によると、男は2026年5月に観光で来日。捜査当局が滞在先を特定し、大阪市内のホテルで身柄を拘束しました。

男には、ドイツの物流会社への攻撃に関わり、約2600万円相当の暗号資産を脅し取った疑いがあると報じられています。

警察庁は同年10月8日、ドイツ当局による逮捕を発表。日本側がドイツや法務省などと連携し、身柄の拘束と引き渡しに協力したことを明らかにしました。

なお、今回報じられた容疑はドイツ企業への事件です。この男がアサヒへの攻撃を直接実行したかどうかまでは、確認されていません。

サイバー空間で攻撃を繰り返す集団のメンバーが、観光で訪れた日本で拘束されていたという展開にも驚かされます。

まとめ

今回は、アサヒへのサイバー攻撃で声明を出したQilinについて、正体や国籍、目的を調べました。

  • Qilinは2022年から活動するサイバー犯罪集団
  • 読み方は「キリン」「キーリン」など
  • ロシア系とみられるが、メンバー全員の国籍は不明
  • 主な目的は、企業や組織から身代金を得ること
  • データの暗号化と情報公開を組み合わせる「二重脅迫」が手口
  • 運営側と実行役が協力し、身代金を分け合う仕組み
  • アサヒへの攻撃で犯行声明を出し、2026年には中心メンバーとみられる男が逮捕

身近な商品の流通や医療サービスにも影響するだけに、企業の中だけで済む問題ではありません。

メンバーの逮捕をきっかけに、組織の実態解明や被害の防止が進んでほしいですね。

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