2026年10月4日に告示された横浜市長選に出馬した、前市長の山中竹春(やまなか・たけはる)氏。
山中竹春氏はパワハラ問題を受けて市長を辞職しており、「具体的に何をしたの?」「切腹発言とはどういう内容?」と気になっている人も多いのではないでしょうか。
横浜市が設置した第三者調査では、切腹発言や銃撃ポーズ、職員への暴言、人事権を背景にした圧力など、7つの事項が調査されました。
その結果、一連の言動は総合的に「重大なパワハラ」に当たると評価されています。
一方で、告発された細かな内容の全てが事実と認定されたわけではありません。
この記事では、第三者調査報告書をもとに、山中竹春氏のパワハラ内容と認定されなかった部分、辞職までの経緯を見ていきます。
山中竹春のパワハラ問題は何があった?
山中竹春氏のパワハラ問題が大きく動いたのは、2026年1月です。
当時、横浜市の人事部長だった久保田淳氏が実名で会見し、山中竹春氏による職員へのパワハラ行為を告発しました。
告発内容には、職員を怒鳴る行為や「切腹」という言葉を使った発言、銃で撃つようなポーズ、侮辱的な言葉などが含まれていました。
これに対し、山中竹春氏は「バカ」「ポンコツ」「クズ」「スペックが低い」「ダチョウ」など、一部の言葉を使ったことを認めて謝罪。
ただし、当初は容姿に関する侮辱など、一部の指摘について否定していました。
その後、横浜市会が独立した調査を求める決議を全会一致で可決。神奈川県弁護士会の推薦などを踏まえて選ばれた弁護士による第三者調査が行われました。
職員アンケートでは、対象となった746人のうち294人が回答。
その中の192人が、山中竹春氏によるハラスメントの疑いがある行為を、直接または間接的に見聞きしたと答えています。
第三者調査は2026年7月30日に報告書を公表し、優越的な立場から職員の尊厳や職場環境を害した深刻な行為だったと結論づけました。
山中竹春のパワハラ内容は?調査された7項目
第三者調査報告書で調査対象となったのは、主に次の7項目です。
| 項目 | 主な内容 |
|---|---|
| ① | 市長室などで怒鳴る・書類を投げつける |
| ② | TICAD誘致を巡る「切腹」発言 |
| ③ | 裏切りへの警告と銃撃をまねるポーズ |
| ④ | 職員への人格否定・侮辱的な発言 |
| ⑤ | 深夜や休日の恒常的な業務連絡 |
| ⑥ | 幹部職員の市長室への出入りを制限 |
| ⑦ | 人事権を背景に職員を統制 |
それぞれ、どのような内容だったのでしょうか。
①怒鳴る・書類を投げつける
第三者調査では、山中竹春氏が市長室などで職員を怒鳴ったり、書類を投げつけたりした行為が認定されました。
職員をにらみつける、意図的に無視するなどの態度も確認されており、職員が強い心理的負担を感じる状況が続いていたとされています。
市長と職員には大きな立場の差があります。
その関係性の中で威圧的な言動が日常的に行われていたことから、パワハラに当たると判断されました。
ただし、2023年6月16日の特定の場面で机をたたいたという点については、事実の認定には至っていません。
②TICAD誘致を巡る「切腹」発言
2つ目は、アフリカ開発会議「TICAD」の横浜誘致に関する発言です。
山中竹春氏は、チュニジア大使を招いた昼食会の待ち時間に、TICADを誘致できなければ「切腹」だという趣旨の発言をしたと認定されました。
仕事への強い意気込みを表したつもりだった可能性はありますが、市長から部下に向けられた言葉としては、過度な重圧を与える表現です。
第三者調査では、この発言が業務上必要な範囲を超えて職員に精神的な負担を与えるものだったと判断されています。
なお、この発言が告発者だけに向けられたものだったかどうかは、特定されていません。
③「裏切ったら」と銃撃ポーズ
山中竹春氏は、職員に裏切られた場合について言及しながら、指を拳銃に見立てて撃つようなポーズをしたとされています。
第三者調査では、同様の行為が複数回あったと認定されました。
実際に危害を加える意思がなかったとしても、上司が部下に対して行えば、脅しと受け取られても不思議ではありません。
報告書でも、職員に恐怖を与え、就業環境を悪化させる行為としてパワハラに該当すると判断されています。
④「ポンコツ」「人間のクズ」などの暴言
職員に対する侮辱的な言葉も問題になりました。
第三者調査で確認された言葉には、次のようなものがあります。
- ダチョウ
- ポンコツ
- 人間のクズ
- バカ
- スペックが低い
さらに、55歳以上の職員は頭が固いという趣旨の発言や、女性を「おばさん」「おねえちゃん」と呼ぶ言動も報告されています。
本人同士の関係では冗談として使われる言葉であっても、市長という強い立場から職員に向けられれば、受け手は簡単に拒否できません。
第三者調査では、人格を否定し、職員の尊厳を傷つける発言だったと評価されました。
⑤深夜・休日を問わない業務連絡
山中竹春氏から職員への連絡は、平日の勤務時間内だけではなかったといいます。
緊急性が低い内容でも、深夜や早朝、休日にメールなどで指示や問い合わせが届く状態が恒常化していました。
連絡を受けた職員は、勤務時間外であっても対応しなければならないと感じていたとされています。
たまに緊急連絡が入るという程度ではなく、職員が休息を取れない状況が日常的に続いていた点が問題視されました。
なお、情報公開請求を避ける目的で私用メールを使うよう指示したという点については、事実の認定には至っていません。
⑥幹部職員を市長室への「出入り禁止」にする
一部の幹部職員が市長室へ入って直接説明することを認められず、書類などを通じて報告せざるを得ない時期があったとされています。
人事部長だった久保田淳氏についても、一時的に市長室への出入りを認めない対応があったと認定されました。
市長への説明機会を一方的に奪えば、業務を円滑に進めることが難しくなります。
第三者調査では、こうした「出禁」の対応についても、職務上必要な範囲を超えた不適切な行為と判断しています。
⑦人事権を背景に職員へ圧力をかける
最も深刻とされた内容の一つが、人事権を背景にした職員への圧力です。
山中竹春氏は人事異動について、「飛ばす」「粛清感が強い」「恐怖を与える」「人事部からのジャブ」といった趣旨の言葉を使っていたとされています。
市長には職員の配置や人事に強い影響力があります。
その立場にある人物が異動を制裁のように表現すれば、職員が反対意見を言いにくくなってしまいます。
第三者調査は、人事権を利用して職員を心理的に統制した行為であり、パワハラに該当すると判断しました。
全ての告発内容が事実と認定されたわけではない
ここで注意したいのは、告発された内容の全てが、そのまま事実と認定されたわけではないことです。
第三者調査で認定に至らなかった主な内容は、次の通りです。
- 2023年6月16日の特定の場面で机をたたいたこと
- 「切腹」発言が元人事部長だけに向けられていたこと
- 写真展で職員に「デブ」「2頭身」「気持ち悪い」「死ね」などと発言したこと
- 情報公開請求を避けるために私用メールの使用を指示したこと
認定されなかったというのは、必ずしも「発言がなかった」と断定されたという意味ではありません。
証言や資料から、事実だと判断できるだけの証拠が得られなかったということです。
一方で、怒鳴る行為や書類の投げつけ、切腹発言、銃撃ポーズ、侮辱的な言葉、人事権を利用した圧力などは認定されています。
そのため、細部に認定されなかった部分はあるものの、パワハラ問題全体が否定されたわけではありません。
山中竹春はパワハラを認めた?辞職までの経緯
山中竹春氏は、問題が報じられた当初から全ての指摘を認めていたわけではありません。
| 時期 | 主な動き |
|---|---|
| 2026年1月 | 人事部長が実名でパワハラを告発 |
| 2026年1月 | 山中氏が一部の暴言を認めて謝罪 |
| 2026年1月 | 横浜市会が第三者による調査を求める決議を可決 |
| 2026年7月30日 | 第三者調査報告書が公表される |
| 2026年8月 | 山中氏が報告書を受け入れ、改めて謝罪 |
| 2026年8月28日 | 市会議長へ辞職願を提出 |
| 2026年9月7日 | 横浜市長を辞職 |
| 2026年10月4日 | 横浜市長選に立候補 |
第三者調査報告書が公表された後、山中竹春氏は報告書の内容を全て受け入れる意向を表明しました。
当初は市長を続ける考えを示していましたが、その後、2026年8月28日に辞職願を提出。9月7日付で市長を辞職しました。
しかし、約1か月後の10月4日には、辞職に伴って行われる横浜市長選へ立候補しています。
パワハラ問題で辞職した前市長が、直後の選挙に再び出馬したことで、第三者調査で認定された内容に改めて注目が集まっているようです。
まとめ|山中竹春のパワハラ内容は総合的に「重大」と認定
今回は、山中竹春氏のパワハラ内容について紹介しました。
- 市長室などで職員を怒鳴り、書類を投げつけた
- TICAD誘致を巡って「切腹」という言葉を使った
- 裏切りへの警告とともに銃撃ポーズをした
- 「ポンコツ」「人間のクズ」などの侮辱的な言葉を使った
- 深夜や休日にも業務連絡を繰り返した
- 一部の幹部職員を市長室への出入り禁止にした
- 人事権を背景に職員へ心理的な圧力をかけた
告発された細かな内容の中には、証拠が足りず認定に至らなかったものもあります。
しかし第三者調査は、山中竹春氏の優越的な立場から行われた不適切な言動が日常的、継続的に存在していたと判断しました。
そして、一連の行為について総合的に「重大なパワハラ」だったと結論づけています。
辞職後すぐに横浜市長選へ再出馬した山中竹春氏。今後、パワハラ問題について有権者へどのように説明していくのかも注目されそうです。

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